アニメ版るろうに剣心雑記 弐


第十三話 めざせ横綱!
虎丸のどすこい奮戦期
 

 アニメ版の完全オリジナルエピソード。

 要するに、先輩のいじめが原因で相撲部屋を出た『虎丸』を、薫がしごき剣心が励まし、元の鞘に収めつつ嫌な先輩を改心させる、と言うのが主な流れで、るろ剣としては見所が無ければ『意味も無い』エピソードです。
 ただ、何気無く前回までより作画レベルが高く、グリグリ動画も動いてる、って点は好評価。

 取り立てて述べる事は無いんですが、虎丸を呼び捨てにしてる薫や、尻をつねって欲しいと言われて素直につねる薫や、身投げする虎丸を止めようとして一緒に身投げする薫なんかが見所かも。後、『もう死ぬどすこい!』と、分かり易過ぎる虎丸のキャラとか。

 まァ、ジャンプアニメってのは漫画版より更に大衆向けに作るものなので、言ってしまえば『薄い』アレンジなんかが施される事が多いのですが、オリジナルの話になると輪を掛けて何がしたいのか分からなかったりして、評価のしようが無いのです。

 て言うか『るろ剣』観てるのに棍棒振り回す相撲取りを観せられても
 『剣心は剣を持たせりゃ日本一だが、米俵持たせりゃタダの人だな』って、もう何が何やら。


第十四話 小さな命を救え!
美人女医・恵の挑戦

 またアニメ版の完全オリジナルエピソードなんですが、今回は医者としての恵がメインであり、且つ若干左之助との絡みも在る、『キャラを立てる』という意味では、それなりに意義のある話となってます。

 前回同様、二段階の影や細かい髪の線など、作画・動画レベルも高く(後程、エンディングに使い回される程)、原作に出てた菱卍愚連隊の登場なんて細かいファンサービスも在ったりして、結構自分的には好評価。ちゃんと菱卍愚連隊については『度を知らない分ヤクザよりしつこくてタチが悪い』の説明を初め、作画効果で悪人度が数倍になった蜂須賀、破壊力満載の木砲の登場など、話を変えてはあっても原作のトレースが行われてて、この辺には文句も無しです。

 ただ、問題は剣心の動かし方。

 今回は、折角前半で左之助と恵の絡みを見せつつ、後半ピンチの恵を左之助が助ける、と言う少年漫画的な展開を見せるのに、最後の最後で剣心が出てきて良いトコ持ってく、という『いつもの構図』に収めちゃうのはどうだろう、って事ですよ。

 アニメならではの展開・キャラ立ての話にしてるんでしょうから、『剣心を締めに使うな』とは言わないまでも、木砲を左之助が殴り返すくらいのキャラ作りをしても良かったんじゃないかと思うのです。先の話でもそうでしたが、ソレくらいの方が『左之助の異常な打たれ強さ』も表現出来て良いんじゃないかと思う次第です。

 まァ、敢えて挙げる事が有るとすればその辺くらいで、後は十分及第だったと思います。


第十五話 炎の暗殺集団、
神風隊走る!

 これまた、アニメ版オリジナルの話。

 黒笠の刃衛の様な(アニメ版では刃衛の正体が語られてませんでしたが)、政治家御用達の暗殺集団『神風隊<しんぷうたい>』と剣心達との戦いが描かれる話です。それに加え、『元京都見廻組にして、抜刀斎と引き分けた』と言う、現在は無料で子供達に勉強を教えている左之助の友人『先生』も交えた、『人斬りの明治の生き方』をテーマにした結構『るろうに剣心』らしさを持ったエピソードとなってます。

 前回、前々回同様、作画・動画ともにクオリティが高く、前述の通り話も『るろ剣』っぽく剰り突っ込みどころはありません。
 強いて言えば、本当に剣心が『最強の刺突技・紫電の太刀』を脅威と思ったのかどうか、って事です。

 確かに剣心も首筋に一閃喰らったりしてるんですけど、存知の通り、るろ剣での刺突技と言えば斉藤 一の『牙突』なワケでして、『拙者を突き殺したければ、斉藤の牙突を越える技を繰り出してこい!(By剣心)』や『牙突は剣心の九頭龍閃に匹敵する突進力を持ってる(By左之助)』のセリフがある通り、るろ剣の中では牙突に勝る刺突技は無いと思うのです。

 そんな訳で、剣心自身が紫電の太刀に結構脅威を感じてるのが違和感なのです。
 『刺突技と言えば紫電の太刀』みたいな事を言われると、とっても違和感なのです。

 まァ、剣心って結構忘れ易いタチみたいなので、この時『京都見廻組』について考えてた所為で『新撰組』や、それに関する『平刺突』、『斉藤 一』、『左片手平刺突・牙突』なんて忘れていたのかも知れませんけどね。


第十六話 勇気ある誓い!
燃えよ秘剣・紫電の太刀

 そんなわけで、前回の続きです。

 神風隊も、実は政治家にいい様に利用されているだけの存在である事が明かされながら(神風隊は気付いていない)、『この刀で日本を変えてみせる!かつて人斬り抜刀斎がそうした様に!』と言う、深いセリフも出たりして、結構熱い展開へヒートアップしていきます。ついでに、山県有朋が再登場したりする、微妙なファンサービス。

 さて、今回もそれなりに巧くまとまった話なので特に言う事も在りません。素直に、(細かい描写不足こそ感じるものの)るろ剣として良質なエピソードだったと思います。
 『あいつは明治になっても刀を捨てれない、可哀想な男なのだ』というセリフも、るろ剣のテーマに関わっていますし(可哀想な男より、『哀れな男』の方が表現的に良いと思いますが、個人的な趣味です)、政治家の『こんな奴等は知らない!頼む、殺してくれ!』→『分かった罪は認める!だから助けてェッ!』というヘタレぶりも、黒笠の回の谷さんで消化しきれなかった政治家の醜さが表現出来てて良かったと思います。

 で、今回の話を通して思ったのですが、コレはあの『黒笠事件』でアニメ版がやり損ねた事を補完したのではないか、或いは形を変えて放送したのではないか、と考えてみたり。いや、計算していないにしても、このエピソードで結果的には(やはり純度の低下こそありますが)黒笠事件の未消化部分のテーマをアニメの方でも流せた、と思うのです。

 こういった点で、有っても無くても変わらない他のエピソードに比べ、このエピソードはやる意味が有った(省いてはいけない)のだと思っています。まァ、最初から刃衛の話で政治家が絡んでいる、と言うセリフを省きさえしなければ最初からこんな小エピソードを作る必要も無かったと思うのですが(刃衛の補完と考えたならば)。 

 尚、今回も前三回分と同じ様に、作画・動画クオリティ共に高く、安心して観る事が出来ました。
 何て言うか妙に気合い入ってますねえ、オリジナルエピソード。


第十七話 夢に向かって飛べ!
砲弾娘マリモの冒険
 

 更にオリジナルエピソードが続きます。
 が、今回は前回までと比べ、あからさまな作画クオリティの低下、中身の無い脚本、無茶のある話、と別な意味で特筆すべき点のないエピソードなのです。

 要するに、悪徳見せ物小屋から独立した親子が、その悪徳見せ物小屋に虐められてるのを剣心達が助けつつ、砲弾娘(砲弾で飛ぶ娘)に弥彦が一目惚れしたり、何かこう、色々騒動が起こるよ、って話なんですけど。無理があるよ

 『何か』を書くのも馬鹿らしいので、もう省いて良いですか。
 強いて言えば、何十人と人が居る中、『飛天御剣流』の名を叫ぶ薫の低知能っぷりはどうだろう。

 左之助が『抜刀斎は飛天御剣流を使うのは常識』って言ってたでしょ、その集まった人達の中に御剣流の名を聞いた事のある人間が居ないとも限らないのに。ただでさえ『赤い髪』、『左の頬に十字傷』は目立ち過ぎる特徴なんだから…


第十八話 走れ弥彦・
逆刃刀を取り返せ!

 まだ続くアニメ版オリジナルのエピソード。帳尻合わせが目に見えます。

 タイトル通り、主役は弥彦。

 冒頭『この出刃包丁が目に入らねェか!』とか言う強盗から赤ベコを守った事で慢心した弥彦が、『自分は剣客で』『竹刀では無く真剣で稽古をしたい』、と言う流れに。その弥彦の慢心を利用した比留間 伍兵衛が弥彦を挑発し逆刃刀と弥彦を捕獲、丸腰の剣心は伍兵衛が雇った謎の暗殺者と闘う事に〜、というのが主な流れ。

 言ってしまえば、良く有るエピソードです。
 良く有るだけに王道通りの展開で、これと言って無茶が有ったり、設定に無理の出てくる話というわけでも無く、普通に観る事が出来ます。前回に比べて、作画のクオリティも上がってますし。

 取り敢えず、面白いと思ったのは比留間 伍兵衛の動かし方。
 『剣心に指を潰されて以来、剣を握れなくなった俺は土地を転がし転がし、不動産屋で大儲け。こんな事なら最初から―――いやいや、この恨み〜(略)』とか、弥彦に金的を喰らった際の例えの絵(くるみをハンマーで砕いたり)とか、細かいトコで笑わせてくれます。
 何て言うか、いつの間にか『憎めない小悪党』キャラに成り下がってて、何とも言えずいい感じです。
 加えて、何気無く剣心を『抜刀斎』では無く『剣心』と呼んでいるのも、フレンドリーで良いですね<これって悪党にしては珍しい

 相変わらず、『るろ剣』としてのテーマの無いオリジナルエピソードで有っても無くても…、という感は否めませんが、まァ観ても損は無いのではないでしょうか。

 ところで、ひょっとして『弥彦の戦い』で逆刃刀を買いたいネタについて触れなかったのは、このオリジナルエピソードをやりたかったから、ですかね。…邪推ってやつでしょうか。


第十九話 雷十太の野望・
禁じられた王国の幻想

 原作のキャラ『石動 雷十太』と、その『真古流』が相手となる雷十太編がスタート。
 漸くオリジナルエピソードも終わり―――と書きたいんですが、この話も御庭番衆編の様に、というか一部設定を原作から引き継いでいるだけで、殆どオリジナルエピソードと言っても良い話にされています。

 で、結論から言うと、今回のこの雷十太編ばかりは、原作よりもアニメ版の方が見所も多く、面白い作品となってます。

 原作との違いについて、先ずは『塚山 由太郎』から。
 アニメ版では既に父親が他界しており、未だ雷十太とも出会ってません。大富豪だった両親を亡くし、5歳にして伊豆の広い屋敷、土地を受け継いだため、クソ生意気な性格になった、という設定です。更に、父親は『稲妻が如し剣を使う人間』というワケで、その父と同じ実力を持つ剣客を捜しており、自分に剣の稽古を付けて貰いたいと思っています。

 で、雷十太。
 原作同様、金で雇った破落戸<ごろつき>に由太郎を襲わせ、それを助けて恩を売る作戦をし、由太郎の財産を得るというところまでは一緒。真古流で日本に刀の世を、と言うのも一緒ですが、この辺の信念の強さが原作より大分上。
 原作では子供一人殺せない小者でしたが、アニメ版では登場するや口封じに破落戸を殺しまくり。真古流同士と共に、『本気で』真剣の世を作ろうとしてます。そのために先ずは伊豆を制圧し、自らの王国を作ろうと企んでいる模様。

  こういった設定の変更の元、繰り広げられる雷十太編ですが、きちんとセリフや対戦シーンは原作のトレースを行いつつ、オリジナルの小ネタを含んで進めてるのは結構面白いです。
 剣心が全裸で薫と恵の前に立ってみたりとか、馬鹿馬鹿しくて最高。

 原作でも登場してた、真古流の同士達4人も『真古流四天王』としてパワーアップして参戦、剣心相手に勝つとは言わないまでも、原作よりも良い勝負をしてます。連係プレイも決まってて、戦闘シーンは見応えあり。
 普通に面白いので、特別突っ込みどころも無いまま、次回へと持ち越しです。


第二十話 真古流の復活!
嵐を呼ぶ究極の殺人剣

 雷十太編の中編。
 真古流の同士達が次々と塚山邸に集合する一方、由太郎は薫の元で神谷活心流の稽古を開始。

 由太郎の『実は剣才がある』ネタや『根が素直』ネタ、『やはり師は雷十太先生』という、原作にあったネタを多少形を変えつつアニメなりに巧くまとめてます。同じ稽古のシーンを繰り返して流すのですが、同じ稽古内容でも、二回目の方が表情が柔らかくなってるなど、些細な点での感情表現の気遣いが良いです。

 弥彦と由太郎に友情も生まれてきた頃、山県卿に言われて『真古流を皆殺しにすべきかどうか』を剣心に問うべく署長さんが伊豆くんだりに登場。
 ―――が、署長サンてば剣心に会う前に由太郎に、塚山邸に起こってる事を話してしまうミスをしやがりまして、由太郎は剣客警官隊と銃撃警官隊が塚山邸で真古流と争っている現場へ向かってしまいます。

 この辺の流れは、完全にアニメ版オリジナルなんですけど、雷十太を心配する由太郎の姿や、警官隊を迎え撃つ雷十太は、原作には無かった格好良さを持っててとてもいい具合です。特に雷十太の威圧感は原作の遙か上。
 ただ、雷十太のパワーアップは良いんですけど飯綱が強くなり過ぎてて、鎌鼬<かまいたち>って言うか竜巻を引き起こして、何だかバリアの様になっちゃってます。こりゃあ絶対違う技だ。

 他の真古流の同士が銃で死んだりしてるんだから、雷十太も素直に飛飯綱使って助けてやれよ、って気もしなくもないんですけど、やはり雷十太先生はその辺考えが浅はからしいです。自分の事以外考えてないと言うか。いや、強いには強いんですけどね。
 幾ら技の力が強くても、幾ら同志が集まっても、頭がコレじゃあ話になりませんよ、とか思われても仕様が無いですな。

 取り敢えず今回も順当に進み、次回へ。


第二十一話 悪夢の崩壊!
雷十太の野望・完結編

 タイトル通り、雷十太編の完結編です。

 今回の見所は、『何れ日本から剣は滅ぶ。ならば我らに出来るのは玉砕あるのみ!』と銃撃隊に向かっていく真古流四天王(一人)と、それを止めようとして逆に死なせる剣心。そして剣心『やめろーーーーーーーー!!!(宝塚風)』と逆ギレ
 幾ら何でもそりゃ無いだろお前、って突っ込みたいんですけど、まァご都合主義ですから、その辺。

 その後は、『拙者が雷十太を倒すから、殺し合いは止めろでござる』なんていう強引な決定が下されたりして、剣心と雷十太の決闘開始。途中由太郎の腕が飯綱で斬られるネタも含めつつ、鎌鼬である故にガード出来ない脅威の技『飯綱』vs『飛天御剣流』の対決が進んでいきます。
 進んでは行くんですが、どうやら、アニメ版スタッフは雷十太の飯綱を勘違いしてると思う節がチラホラと…。
 そうです、どうも前回から感じていた違和感の正体が分かったのですが、アニメ版の纏飯綱は、刀を地面に叩き付ける事で、『地面を這う様な鎌鼬』を発生させている様です。つまり攻撃判定の違いこそあっても、見た目は御剣流の土龍閃。

 確かに、原作でも纏飯綱は地面に亀裂を作っていましたが、アレは『鎌鼬を発生させた斬撃』で出来た傷であり、鎌鼬は刀を振り下ろす瞬間に既に発生しているんです。アニメ版スタッフは、それを『地面に鎌鼬が発生する』から亀裂が走る、と間違えた(或いはアレンジした)様で、纏飯綱の時点で既に飛び道具(パワーウェーブ)と化しています。これは、間違えたにしてもアレンジしたにしても、『飯綱』を勘違いしていると思うのですが、如何でしょうか?
 兎角、纏飯綱が飛び道具化した所為で、『纏飯綱で』由太郎の腕が斬られたり、『近距離では纏飯綱、離れれば飛飯綱』という戦法が薄くなったり、『纏飯綱は地を這ってくる。読むのは楽でござる』とか、よく分からないセリフまで出てくる始末。ちょっとこれは失敗に感じるのですが…。

 ついでに、『真剣でやれば金剛石(ダイアモンド)でも真っ二つにするハズ(By剣心)』、『切れ味が良過ぎて受け止められねえ(By左之助)』という原作の設定も無くなってるらしく、剣心てば飯綱を斬りました。『信じられねェ、飯綱を斬った!?(By弥彦)』いや、私も信じられないんですが。飯綱―――っていうか、雷十太の存在意義が………
 そんなこんなで紆余曲折を経て、雷十太を倒した後は由太郎が独逸に行く、という原作通りの展開で進み、3週に渡る雷十太編も終わりです。

 と言うわけで、雷十太編の総括。
 先ず、3回通して作画・動画クオリティが高く、アレンジの面でも悪夢の様だった御庭番衆編と比べて、格段と良くなったと思います。やはり、原作より雷十太と真古流が前面に押し出され、話に見所や広がりが有ったからでしょう。
 尤も、それ故に後程の京都編と幾つか被る設定が真古流に出てきてる弊害も感じましたが、真古流同志の『剣に生きたい!』と言う信念の熱さはなかなかのモノでした。
 前述の飯綱の苦言に関しても、まァ『それはそれで話も通るか』と言うレベルですし、この3回は気合いを感じるエピソードです。

 ところで、剣心が飯綱を右腕に喰らった時の『こんな醜い傷を作った事を後悔させてやる!!』には何か笑いました。う〜ん、耽美系。


第二十二話 初乗り!
暴走陸蒸気びっくり大事件

 で、またオリジナルのエピソードです。
 つまりは、剣心達が強盗の居合わせた陸蒸気(列車)に乗り合わせて事件が、って話なんですが、『この説明で全てです』。

 陸蒸気から振り落とされた剣心が馬に乗って再登場(しかも馬を手に入れた経緯不明)、なんて無茶苦茶な(笑える)シーン以外はこれと言って突っ込みどころもありません。
 それよりも、今回は左之助のキャラが生き生きしてたので、それについて。

 陸蒸気に乗って横浜まで行き写真を撮ろう、という話なのですが、左之助曰く『写真は悪魔の機械だ、魂を吸われるんだぜ、俺ァ絶対に撮ららねえ』を初めに、『そもそもこんな鉄の塊がどうして動いてんだよ…、おっかねえ』、『みんな狸とかキツネに化かされてるんだ、目が覚めたら肥溜めの中に居るんだぜ(真顔)』とか、何というか、『左之助ならこう言うだろうなァ』というセリフの連続。

 今までアニメ版を観てて、一番キャラを掴めてるなあ、とか妙に感心してしまいました。
 そして、この陸蒸気の恐怖症、後程矛盾せずに京都編のラストで使われる事になる辺り、他のいい加減な設定ミス(後程語る事になるでしょう)と違って『ベネ(良し)!』とか思った次第です。

 兎に角、蒸気機関の説明をする薫と左之助のやり取りとか、席の片隅でガタガタ震えてる左之助とかが見所の回です。エピソード自体はどうでもいい話ですから。


第二十三話 左之助の裏切り!?
運命の再開

 再び原作のアレンジに戻り、左之助と『月岡 克浩』の再会、赤報隊の復讐エピソード。
 これも雷十太編同様、アレンジが結構良い案配。

 左之助と克の再会までは一緒ですが、途中に入る赤報隊の回想シーンの追加や、ニセ赤報隊に依る強盗事件の発生など、『赤報隊』というキーワードを強くしようと言う展開が続き、此処まで来て忘れかけてた『左之助は赤報隊メンバー』という事を思い出させつつ、その赤報隊への思い入れの強さを再認識させられます。

 それに、赤報隊の回想シーンで克が左之助を庇って怪我を負った構図と、全く同じ構図を今の左之助と克でやらせたり、無茶をするお互いを『馬鹿』という枕詞で語り合ったり、細かいところでは有りますが脚本が良く練られてると思いました。
 とは言え、あの左之助が赤報隊の名を利用してた連中をパンチ一発で許すとは思えないし、かと言って炸裂弾を直接人間にぶつける克もやり過ぎだと思うんですが、その辺はどうでしょうねえ。細かすぎでしょうか。

 取り敢えず、前回や次回に比べて作画に若干の古さ?の様なモノを感じましたが、巧く赤報隊2人の友情が描けていたと思います。2人でニセ赤報隊を倒すなど、原作よりその辺は細かく描写出来てます。

 そんな感じの良作アレンジで安心させつつ、次回へ。


第二十四話 真夜中の戦い!
左之助対剣心ふたたび

 赤報隊エピソードの後編。

 原作と違う点から挙げると、『皆でパーッと騒ごうぜ』の皆に妙さんと燕嬢、克が居なかった事、官邸前での剣心vs左之助&克が原作よりも熱い、という事でしょうか。このエピソードは、特に後者のアレンジが全て、という具合に気合いが入ってます。
 先ずは原作通り、克と戦う剣心。勿論剣心が勝つワケですが、ここで左之助が克を気絶させて退場、なんて野暮な真似はせず、大真面目に剣心と左之助の決闘が開始します。

 『今だ、行け克ッ!!』『お前を置いて行けるかぁぁぁッ!!』『馬鹿野郎、警察が来る前に行けェ!』『馬鹿野郎、お前殺されちまうぞ!!』すっかり剣心悪モン
 予想通り、剣心の方が常に左之助の上を行く戦いをするものの、今まで剣心と共に戦ってきただけあって左之助も剣心の癖を見抜く様に、抜刀の瞬間に逆刃刀を握りしめて抜刀を邪魔したり、剣心が消えた瞬間に龍槌閃を読んでみたり、それなりに頑張ります。って、読んだところで喰らうのが実力差なんでしょうが。
 それでも、満身創痍の身で、克の静止も聞かずに剣心に突っ込む左之助は、正に男の中の男。
 前回、気のいい奴等(By左之助)の『俺達ァアンタに惚れちまってんだよ』というセリフも分からなくも無い男らしさです。

 その後は、剣心に倒された左之助の譫言で『有り難うよ、これで俺達は本物のニセ官軍にならずに済んだ』という、原作とはシチュエーションが違うモノの『本物のニセ官軍』という言葉に克も改心し、めでたしめでたしです。
 っていうか、何か、こう、『克が剣心と左之助の友情ゴッコに巻き込まれただけ』の様に見えてくるのが不思議なのですが、ソレは意地悪な見方ってモンでしょうかね。
 何やら炸裂弾を土に埋めてる克の背中に哀愁を感じました。

 まァ、終わってみると、最初に書いた通りこの赤報隊エピソードはいい具合にアレンジされており、原作よりも楽しいぐらいにまとまってると思います。特に剣心vs左之助をやったという功績は大きいですね、原作では左之助が剣心を殴るシーンは多いですが、真面目に戦ったのは最初だけですし。
 最後に恵が左之助の逆刃刀の傷痕に気付く細かい描写もポイント高いです。

 そうそう、流石にペイズリーは動画にする際に辛かったのか、克のバンダナは無地になってました。


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