バイオハザード3
発売元 カプコン
発売日 1999年9月22日
ジャンル サバイバルホラー


感想とか

 

 PSのバイオシリーズ、最後の作品。

 初代の主人公の1人だった『ジル・バレンタイン』が主人公に返り咲き、洋館であれだけの恐怖を味わってるにも関わらず、生足晒してラクーン・シティに挑む気違いっぷりを披露する素晴らしい一本です。

 まァ、私はジルが好きだから良いんですけどね、ちょっと彼女の頭の方が気がかりなのです。

 

 それは置いといて、バイオ3。

 ホラーの1、シナリオの2、アクションの3、という私の捕らえ方に在る様に、全バイオシリーズ中、一番アクション性が強いゲームです。

 その最もたる理由が、今回登場の新システム『緊急回避』、このシステムが非常に素晴らしいからなのです。

 

 このシステムは、敵の攻撃に合わせてタイミング良くボタンを押すと、文字通り敵の攻撃を回避する行動を取ってくれるシステムです。この『タイミング』ってのがやけにシビアなんですが、これを覚えると、本当に戦闘が面白くなる、なる、なる。

 

 今までのバイオシリーズの、『ただ脇を逃げてた』、『火力にモノを言わせてゴリ押ししてた』、『覚悟してナイフで挑んでた』、そんな戦闘が一辺、相手の攻撃を紙一重で交わし、死角から攻撃、なんて見た目に格好良い行動が取れる様になり、戦闘そのものに対する感覚がまるで変わるのです。

 残弾を気にする戦闘から、アクションゲームらしいメリハリのある戦闘へ。『緊急回避の使える、使えない』は、『残弾が在る、無い』くらいに戦闘では大事になりました。

 更にこの緊急回避、タイミングのシビアさ加減が丁度よく、誰でもひょいひょい出来るわけで無いところに意義があり、今までタイムを縮める事にあった極め要素に、新たな極め甲斐が加わったワケです。

 因みに部屋の隅なんかで緊急回避すると、ころっと転がって壁に頭をぶつけ、結局ボコられる可哀想なジル嬢の姿も見れます<関係無い

 ついでに今まで以上に判定も精密になり、『こいつは右手で攻撃してくるから、左から〜』とか、細かい動作面でもアクションゲームっぽさが出てきてて、戦闘自体の攻略も楽しめるモノになりました。これは、アクションとして本当に大きな進歩です。

 

 そうそう、それとバイオ3になって忘れていけないもの、それは『追跡者』こと、ネメシスの存在ですね。

 

 白いハゲ、タイラント。

 初代で姿を見せたヤツはタダの化け物でしたが、2ではトレンチコートを羽織り、執拗に主人公を追ってくる様になり、アンブレラの技術力の向上、生物兵器の可能性を見せてくれてました。

 が、それに加えてこの追跡者。

 遂に喋りやがりました。

『S.T.A.R.S.…』

 今まで、『あ”−』とか『キシャー』とか『ォォォォォォォオオオッ!』だった連中とは一変、遂に言語機能搭載。

 ついでにロケットランチャー搭載

 神出鬼没は当たり前、更に登場エリアから逃げても、ドアを開けてやってくる、柵を飛び越えてやってくる、窓を割ってやってくる、正にストーカー能力全開の大暴れっぷり。

 今回で遂に捨て去った(違)『サバイバル・ホラー』―――生き残るための戦い、死への恐怖から、新たな脅威、『追い詰められる恐怖』が登場、ってワケなのです。

 

 これはもうホラーではありません。

 ホラーとしての恐怖はもう無いのですが、『アクション・ゲーム』として追跡者の存在は十分な『恐怖』となっているのです。

 『ここまで来れば安心…?』『今ヤツに会ったらヤバイ』『頼むからもう来るな』

 これは、違うベクトルではありますが『恐怖』という種において同じ、バイオの新しい『恐怖』として成功したと言えるでしょう。

 

 この新たな恐怖に加え、ランダムセット(アイテムの場所がプレイに依ってある程度変わってしまう)や、制限時間内に答えねばならない選択肢で、シナリオが変わっていくライブセレクション等の追加で、前作バイオ2に在った様な『作業感』は大分薄らいだモノとなりました。

 これらの事は初代BIOHAZARDとは大分趣旨が変わっている様に思えますが、結果的に間違いなくバイオとして成功したと思います。

 ただ、緊急回避あって、のアクション性ですから前作までと比べると難易度は結構高いと思います。

 とは言え、前2作を終えてる人ならば、クリア出来ない程の難易度でもありませんし、バイオシリーズの経験者は、是非。

 

 

 

 ―――ここから微妙にネタバレ。注意―――

 

 

 上では結構褒めていますが、私なりに難点も感じています。

 まァ、細かい事は省いて、毎度恒例の爆発締めと、追跡者の化け物化について。

 終盤、追跡者を身体の原形を無くすくらいに倒すわけですけど、その後、残った身体が異常変移して、いつも通り、原形の無い化け物(って言うか肉塊)に姿を変え、ジルの前に立ち塞がります。

 何て言うか、これには滅茶苦茶失望しました。

 『やっと脱出出来る』と安心させ、そこにしつこく敵が現れる。

 それは映画『エイリアン』以降この手の脱出ネタには付き物の展開ですし、今更この王道やお約束についてどうこういうつもりは無いですけど、追跡者をぐちゃぐちゃのモンスターにした意味を理解しかねます。

 今まで、『人型の』『生物兵器が』『言語と武器を持って』『追跡してくる』『恐怖』と戦ってたのに、土壇場で『よく分からない』『最後のモンスター』として出てこられても、もう何の感慨も湧かないじゃないですか。

 『いつも通りの』『制限時間内に』『強力火器で』『ラスボスを倒す』だけ。

 追跡者にあった恐怖だとか、そう云うのはまるで無視。

 ただ、『イベントの一環として』最後の兵器で化け物を退治せよ、と。

 

 こうまでして、『バイオハザードは化け物と戦うゲームです』というのを強調したかったのでしょうか。

 こんな形を取らなくても、破棄したハズの追跡者のプロトタイプが起き上がってくるとか、或いは量産してた追跡者が現れるとか、その方が余程絶望感や恐怖も涌いたと思うのです。

 『ああ、またこの展開か』よりも、『追跡者が増えとる!!』って方が余程脅威でしょう、ラストまで遊んでるユーザーならば。

 幾ら今回はアクション重視とは言え、ただ、モンスターを追い払うだけのアクション・ゲームならば、別にバイオハザードでやらなくても良いじゃないですか。それではその辺のバイオをパクったB級と違いがありませんよ。

 前作のGの最終形態は、未だストーリー上仕方無く思うとこも在りますが、今回は『お約束』以上の必然性を感じ取れません。

 お約束、王道は、ちょっと間違えると『マンネリ』と化し、その評価は決して高いモノとはなりません。

 そして、その境目はとても曖昧で微妙なモノです。

 

 私が初代バイオをやって、研究室でキメラやタイラントを見た時に感じたBIOHAZARD、強いてはサバイバル・ホラーの在り方に対する危惧感、と言うか疑問に感じていた部分が、いよいよ以て確信になってきた気がしました。

 ただのモンスター退治ゲームでは無く、サバイバル・ホラーとしての『恐怖』をどう再現していくか、それが今後のバイオの課題じゃないかな、と。

 

 ついでに、今回はラスト、映画『バタリアン』よろしく、ウィルスの蔓延したラクーン・シティをミサイルで消し飛ばす事で無理矢理問題の解決を図ってますが、あれでt-ウィルスが掃討出来る確証ってのは在ったんでしょうかね。

 t-ウィルスが非常に熱に弱いだとか、そんな理由が無ければ、アレは逆に広がってしまうんじゃないか、と思うのですが。

 少なくとも、ウェスカーズ・リポートIIでは、t-ウィルスは様々な種に宿主となる生体が存在し、植物、虫、魚、殆どの生物が増幅拡散させる可能性があると書かれていたし、安易にミサイルで爆破ってのは不味かったんじゃないんでしょうかね。

 解決にはあれしか無かった、って納得出来ますかね。

 もし、洋館の外のあの森に、渡り鳥が来ていたら?ウィルスを持ったまま別の都市に行く事は?

 ―――政府上層部の一部とアンブレラが既に密約をかわしてて、ミサイルの中に抗体でも入れた、というのならば或いは?

 兎に角、あのラストには現実的な問題を感じてしまいます。


心ゲーメニューへ