METAL GEAR SOLID 2
-SONS OF LIBERTY-
発売元 KONAMI
発売日 2001年11月28日
ジャンル タクティカル・エスピオナージ・アクション


内容

 

 PSの名作『METAL GEAR SOLID』の続編。

 PS2にプラットフォームを移した事で、グラフィックの大幅な向上や、敵兵の賢さ、行動アップ等が行われて云々。

 いや、こんな説明なら他に幾らでも良いHPサンありますしね。いつも通り、私なりに。

 

 私は、前作のメタルギアソリッドからメタルギアファンになった所謂『俄ファン』なんですが、それでも結構前作はやり込んでいまして、大方のバカ要素の実戦や、FOXの称号を取るまで頑張ったり等と蛮勇を奮っていたモノであります。

 そんな私ですから、当然このソリッド2には期待しまくっていたワケです。『ああ、また今回も馬鹿な事が沢山出来るだろうな』と(勿論、ストーリーに関しても期待していました)。

 で、早速(前作をやった事があるプレイヤーが最初に遊ぶ事になるタンカー編を)プレイしてみた結果、若干前作と操作面が違うと言う事で不慣れな点が在った事以外は、兎に角『ナイス』の一言。

 相変わらず隠れると言う事の楽しさ、バカ要素(ロッカーに隠れてわざとノックしたり、どうでも良い写真を撮ってみたり)が張り巡らされ、前作より格段に向上したグラフィックのお陰でそれがより冴え渡る、冴え渡る。

 敵兵の細かい行動も面白いし、只隠れるにしても敢えて見付かり易い隠れ方とかあったりして、ホントに馬鹿な事を試しつつ楽しむ事が出来る。全く持って『良い出来』の一言であります。

 今回のアクション面でのポイントとなる、『銃を撃つ時は一旦主観で定める』という手法も、より『潜入任務』っぽさをまして感じましたし、敵兵の背中に銃を突き付けて脅す、なんて如何にも『これから馬鹿な事して下さい』と言わんばかりの新システムも素敵でした。『撃つなら撃て』とか言われたらその場で射殺とか。『助けて〜』とか言われたらその場で射殺とか。両手両足撃った挙げ句に射殺とか。―――なんか、ブシドーブレードの時以来の背徳の快(削除)

 そんな感じで、ホント本編を無視して楽しめる楽しめる。

 敢えて発見されて銃撃戦してみたり、ダンボールに隠れて『取り敢えず撃たれてみたり』、フライパンを叩いてその真下に隠れてドキドキしたり。兎角、やれる事が多く、ホントに面白い。

 タンカー編終了後、プラント編に入ってもそれは続き、より広いフィールドの検索や、様々なタイプのボス戦、徐々に膨れていく謎の多いストーリー展開など、ホント云う事在りませんでし

 た。

 

 さて、問題は、このプラント編の中半(の後半)から。

 曰く、『前作の(どんでん返しのある)ストーリーが好評だったから、今回もソレで』。

 曰く、『今回の登場キャラは皆1つ以上の嘘をつく設定でやろうと思った』。

 結果。

 『ぶっ飛びすぎ』。注)後述

 

 ネタバレを交えての感想は後述として、此処ではシナリオに触れずに語りますが、兎に角プラント編中盤当たりから、話がよく分からない方向に向けて突っ走り始めます。それは、劇中の真実へ向けて加速していく、という事なんですが、その真実が『ちょっと飛躍し過ぎている』のです。少なくても、私には。

 前作メタルギアでのどんでん返しと言えば、(ED後のアレを除けば)キャンベル大佐、Dr.ナオミ、マスターミラーの信用すべき3人に隠れた事実と、新種のウィルスFOX DIEの正体、そしてマンティスとオクトパスが仕組んだ罠当たりに集約されると思うのですが、これらは全て、ネタが分かって『成る程』或いは『そう言う事だったのか!!(驚愕)』という感情が生まれたと思うのです。少なくても、私はそうでした。

 それが今回は、どう頭を捻っても、反芻して考えても『………え?』『どういう事?』『…あ、有り得ない』等という、何だか刃牙が烈 海王に勝った時の様な『理不尽さ』が過ぎるばかりなのです。『じっちゃん、それ無理矢理過ぎるわ』みたいな。

 確かにどんでん返しが続き、色々と事実が覆されていくワケなんですが、その根底にある設定が『現実離れし過ぎ』ていて、頭の方が追いついてくれないんです。驚く―――いや、あるいみ驚くんですが、前作の様な純然たる驚愕では無く、前述の通りの理不尽さに驚くと云った感じで。

 

 更に、それに付け加える様に登場キャラ達の説教の連続。

 何か、昔某人気アニメの最終回で主人公が言われていた様な、『思いつく限りの罵詈雑言』とは違う、『何でゲームしててそんな事言われきゃいけないの?』的な、くどく、それでいて哲学混じりの説教、説教、説教。

 アクションゲームでありながら、終盤の1時間近くのデモシーンだけの展開は、幾ら飛ばす事は出来ると入っても、『やり過ぎ』。そのアクセルをベタ踏みでやる気とテンションを削いでくれる衝撃っぷりは、筆舌に尽くしがたいモノがあります。

 言ってしまえば、その狂気の連続デモの中、あるキャラが『茶番とはおかしいものだろう?』と言ってネタ晴らしを始める事に説教モードに入るワケなんですが、『先生、この茶番おかしくないんですが?』と言わせたいがタメに、あのセリフが在ったんじゃないかと疑ってしまう程なのです。

 

 日記でも書いた事ですが、この終盤の流れは(少なくても私には)悪い意味で予想外で、アクション面の面白さを差し引き『ゼロ』にする程の強烈さを持っていました。それ程アクセル全開で凄い方向に突っ走ってました(勿論、私は置いてきぼりです)。

 この辺に関しましては、今回のテーマの露骨な表現も気になりましたね。

 前作は『反戦』がテーマに在ったワケなんですが、今回のテーマは『遺伝子では引き継げない記憶』らしいです。

 ―――やった人なら分かる通り、終盤、殆どのキャラが狂った様にこの事を言い出しますね。説教調で。くど過ぎです、ハイ。

 

 まァ、そんなこんなで苦言も言いはしましたが、やはりアクションゲームとしては面白いのです。

 あの連続で続くデモは飛ばせるので、アレを全部ぶっ飛ばして(役割<ロールプレイ>とか言い始めたら、デモスキップ用意)気分の悪い思いも無かった事にすれば、全然楽しめます。

 クリア後のおまけ(ボス戦サバイバルや、ポリゴンデモのキャラを別のモデルと組み替えて遊べる(簡易世紀末シアターみたいな)モードとか)もありますし、何よりバカ要素満載ですしね。

 『人気作の続編』と云うだけ重い立場にあって、前作を越える出来だったかどうか、それは私自信にはハッキリとは言えない事ですが、メタルギアとしての面白さは在るので、PS2を持っているのならばやってみて損は無いかと思います、ハイ。

 

 

―――ここからネタバレ。注意―――

 

 

 

 ここからは、ゲームをクリアしているという人が読んでいる事を前提で書きます。

 先程書いた『ぶっとび過ぎ』についてとか。

 

 先ず、私が『ぶっ飛んでる』とか『理不尽』とか言ってるのは、最後から一歩手前のどんでん返し、『愛国者達』に関してです。

 この『愛国者達』に関連する様々な要因が、私にはもう対処不能でした。

 『今回のテロ自体が、シャドーモセスの再現だった』から始まり、『架空の大佐』、『GWに依る検問』、『世界を操る賢人会議』等々。

 正直、『メタルギアってこんな話だったっけ?』と思う他なかったです。

 いや、メタルギア(含:アーセナル)だって、FOX DIEだって、かなり非現実的ですよ。ナノマシンであそこまで出来る事だって現実としては難し過ぎるレベルですし、マンティスやホモ(ヴァンプ)の存在、単独でハインドやカサッカと渡り合う人らも結構イッちゃってます。

 ですが、『じつは、このせかいはあいこくしゃたちというそんざいがすべてあやつっている』て。

 そんな馬鹿な、と、思っちゃったんですよ、自分(くどい)。

 人類補完委員会大いに結構です、ゼーレもガゼル法院も接触委員会も在りなんですが、メタルギアでそれは違うでしょ、と。

 しかも、それらが実在するならまだしも『我々はホワイトハウスという重力場で産み落とされた念の集合体だ』とか来た日には、返事の返しようが無いじゃないですか。『へぇ、どの系統の念能力ですか?』みたいな。

 剰りの事に、すっかり『オセロットの腕に宿ったリキッド』なんてもっと無茶苦茶な設定を見逃しちゃってましたよ。アレもあまりと言えばあまりですが、愛国者達に比べれば可愛いモノですからねえ。

 

 物語に黒幕は必要ですが、それはあの前大統領で良かったJANとか思うのです。

 少なくとも、前作の最後のやり取りからすれば、黒幕はソリダス、そしてオセロットはその片腕だったのに、今回のそのソリダスすらも愛国者達の手先に過ぎず、相変わらずオセロットは黒幕についてるという構図そのものが、もう『問題在り』に思えてくるのです。

 『実は大統領がスネークの遺伝子を持ってた』、『そして今回の敵はその大統領』!という興奮と比べ、『実は世界を影で操る組織が居た』とか唐突に出されても、感情の移入が出来ないと言うか、納得出来ないと言うか。

 兎角、あの愛国者達の存在の所為で、素晴らしい勢いで萎えていきました、私のメタルギア(のストーリーへの)熱は。

 

 ―――と、愛国者達の事で書き忘れてましたが、他の問題点としてドッグタグに関しても挙げたいと思います。

 尤も、ここではドッグタグのシステムそのものでは無く、ドッグタグに依って得られるクリア後の特典、即ち無限バンダナやステルス迷彩に関してです。

 別に私自身はこの2つが無くてもクリア出来るので良いと言えば良いのですが、コレ等を得るために、最低でも3回は同じシナリオ(そして別難易度)をやらなければいけないのは、些か手間が過ぎるな、と思うのです。ユーザーライクでは無いなとでも言いますか。確かにあの2つは便利で、『クリアした人へのご褒美』として用意されているにしても、何度もプレイしないと手に入らない、と言うスタイルは正直賛同しかねます。

 上手く事が運び、レアアイテムを持った状態で始める頃にはもう4周目、些かやる気も萎えてる人が多いのでは無いでしょうか。『後程楽しむために、取り敢えず出しておく』という人も決して少なくは無いでしょうが、それにしても何度もやらなくてはいけないのは頂けませんよねえ。前作の場合は、一回でもクリアすればどちらか片方が手に入ったから尚更そう思います。

 ドッグタグを集める、というシステム自体は良かったので、これらレアアイテムに関してはドッグタグの数では無く、純粋にクリアしたかどうかで貰えれば良かったのに、とそう思っています。

 因みに、私は全部のアイテムを出しましたが、後半は作業状態、アイテム出してからは一切遊んでない有様です。流石に飽きちゃいますわ。アイテムを試す気力もなあ。

 

 まァ、他は総じて高得点です、純粋に『楽しめました』。

 何より、何度も言っている事ですが『馬鹿な事が出来る』のが実に良い。『馬鹿な事を試したくなる』お膳立てが実に良いのです。遊び心を誘うとでも言いましょうか。そして、その誘いに乗ってみるとスタッフの罠にはまったり。

 あの説教臭ささえ除けば、アクション好きにはお勧めの逸品です。

 

 最後に、もし私が先程挙げた以外の感想を『愛国者達』の設定に見出した人が居るなら、是非お話ししてみたいですね。いや、ポジティブな意味でですよ?もしかしたら、私が見落としていた重要な発見もあるかも知れないし(と言うか、何か見落としが在るから理不尽に感じているのだと信じたい)。


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