甦りし蒼紅の刃 サムライスピリッツ新章
発売元 SNK
発売日 1999年12月22日
ジャンル 格闘ACT


感想

 

 やっちまったSNK。

 

 としか、言えないもの凄い格闘ゲーム。

 何でコレをストEX2plusと同時に発売出来るのか。その自信は何処から来るのか。

 どうも末期SNKは自分達で自分達の名前を失墜させたかったとしか思えない節が在ります。

 最近のKOFとかNEW餓狼とか。

 望み通りになって良かったじゃないか。

 

 閑話休題。

 

 このゲームは、NeoGeo人気を不動の物とするのに貢献した、と言いきって良いだろう2D格闘ゲーム『サムライスピリッツ』シリーズの作品であり、『3D』格闘ゲーム、即ちポリゴンキャラが大暴れの新しいサムスピなのであります。

 お話は、私達の知るサムスピの時代から後、覇王丸がジジイだったり、娘が居たり、服部半蔵の中身が真蔵になっていたりする、3D格闘モノにありがちな次世代の世界となってます。

 それ故に、殆どのキャラは新キャラ。

 美形キャラやパツキンネーチャンに美形キャラ、槍持った親父だの美形キャラだの色物キャラだの美形キャラだの、末期SNKらしくキャラ人気でどうにかしよう、って魂胆見え見えのデザイン連中ばっかり取り揃えております。

 ナコルルは精霊化して若いままリムルルも氷に閉じ込められて若いまま、ってあからさまな人気確保。

 もう八方手を尽くしても庇えきれない『キャラで売る』大作戦です。

 まァ別にそんな事は良いんです。良くないけど。

 実際、そんなキャラ達の並ぶパッケージデザインは格好良く、見た目で買う人も居るんだから作戦は十分成功しているでしょう。

 そりゃー、いいんですけど。

 

 

 肝心のゲーム画面が凄い。

 

 

 今日日、ポリゴンガクガクのキャラ。

 

 ええ、デッド・オア・アライブの女主人公のおっぱい一個にも満たないんじゃねえか、って程度の数の板の集まりで形成されたポリゴンキャラ。

 そうです、絵に描いた様な、『ポリゴンとは何か』を教える教材としては完璧な、小学生がダンボールと牛乳パックで作ったロボットを彷彿とさせる様な、角張まくった四角いキャラ。

 最初マジで目を疑いました。結構笑えませんでした。

 慌てて説明書を確認しました。

 何かポリゴン省いてるモード選んじゃいねえかと。マジで(闘神伝3でそんなモード在ったから)。

 

 アーケードのポリサム見てたから大して期待はしていませんでしたが、これは酷過ぎ。あんまりだ。

 冗談抜きで、”すーぱーさんじゅーにえっくす”で十分じゃないか、コレ。

 フリーのゲームだってもっとモデリング頑張ってます。

 それ程までに適当極まるポリゴンです。

 何でなんですか、SNK様?ポリ餓狼はもっとしっかりしてたじゃない。何であからさまに扱いが違うのですか?

 

 最初から誰も末期SNKにゲーム性なんか求めちゃいませんし、あからさまにキャラ人気で作ったゲームなんだから、ポリゴンくらいしっかりしないと!

 流石にここまで凄いのを『(一応)大手』メーカーから出したのかと思うと、逆にワザとなんじゃないかと疑うくらいです。

 ザマスがそうである様に、ファイティングアイズがそうである様に、『クソゲー』として認識されれば、そっちの方面のユーザーからも買って貰えるんじゃないか、と。

 ホント、そんな邪推をしたくなる位、気持ちいい位に駄目ポリゴンです。気持ちよくないけど。

 ポリゴンキャラのモデリングをやった人は、キャラデザイナーさんに謝罪したのか?

 

 

 まァ、取り敢えず、ポリゴンに関しては此処までにして、最初から求めちゃいないゲーム性の話でも。

 有り得ないとは思いますが、ひょっとしたらゲームにメチャメチャ気合い入れてるかも知れませんし。

 あのポリゴンはSNKの軽い冗談だとして割り切って、ゲームを開始。

 

 

 ―――って、ある意味予想通りなんですが、ある意味予想してたより酷かった

 

 キーレスポンスが悪いのも、動きが鈍いのも、内容にメリハリが無いのも想定してました。

 この辺は、サムスピシリーズがいつも紙一重でゲーム性として面白みにしていた部分ですが、末期SNKにアレを表現出来るとは思ってませんでしたから。

 しかし何より酷かったのは、奇妙なラウンドの仕切。

 

 ヴァンパイアセイヴァーのラウンドの仕切ってご存じでしょうか。

 普通、格闘ゲームのラウンドの仕切は、KOかタイムアップで1ラウンド終了となり、次ラウンドお互いに体力全快で開始されるのに対し、ヴァンパイアセイヴァーはどちらかがKOすると、一回お互いの行動は停止しますが、勝った方の残り体力は引き継いだまま、且つ2人の位置もそのままで次ラウンドの開始、『仕切直し』となるわけです。

 で、このサムスピ。

 そのヴァンパイア方式では在るんですが、その仕切直しが相手の体力を全部奪った時では無く、ゲージが1/3減った時、2/3減った時にそれぞれ仕切直しが入ります。

 鬱陶しい事この上無し。

 仕切直しって言うか、試合の一旦中断と言った方が妥当な表現なんです。

 もの凄い興醒めなんですよ。

 

 試合開始っ!

 てやー、えやー、ザクッ、ザクッ、ザクッ

 (間)

 バンッ(再び再開)!

 せやー、はぁっ、ザクッ、ザクッ

 (間)

 その程度か(ボソッと勝ち台詞?)

 バンッ(三度再開)!

 うりゃー、ザクッ

 勝負在り!!

 

 

 絶句。

 

 特に最後の一時停止後なんて、強斬り一発で死ぬくらいしか体力残ってないし。

 それなのに一々入る間と、飛ばせない台詞。

 

 もう、本気でワザとなんじゃないかな、と。

 

 何で格闘ゲーム、それも刀を持った―――つまり、爽快感ってものが伴ってなくちゃいけないハズのゲームで、こんなにストレスを与えるのでしょう。

 ちょっと体力が減る度に一々中断が入るモンですから、必然的に連続技の爽快感も無ければ、一撃必殺の快感なんてのも微塵にも在りません。

 

 偶然の産物だとか、どこからか紛れ込んで来たシステムとは思えません。絶対わざとです。

 普通、テストプレーっていうか、企画段階で『アレ、おかしいぞ』と思うハズなんです、っていうか思わないと変なんです。

 或いはコレで面白いって思うスタッフしか居なかったからSNKは潰れたんでしょうかね。

 どちらにせよ、絶対、意図的にこんなシステムにしたに違いないんだ。

 

 それで、私は思ったんですけど、このゲームにはSNKのスタッフの意思が詰まってるんじゃないかな、と。

 サムスピって名前で買ってやんの、バーカ。って挑発なんだと思うんです。イヤ、深刻に。

 斬紅郎辺りから信じちゃいないですけど、改めて挑発されると、素直にカチンと来ますね。いや、通り越して来ないけど。

 そう云う意味で、滅茶苦茶心に残りました、このゲームは。

 

 

 そんなこんなで、このゲームはシステム面がどうとか、BGMがどうとか、ストーリーがどうとかはどうでも良いと思います。

 せめて、笑えるところが在れば良かったんですけど、結構本気で作ってるぽいのでそれも無いのが最悪です。

 『笑いにもネタにもならない』駄目ゲーを欲しい人にはお勧め。

 後、サムスピコレクターにも。

 ………褒めようにも庇おうにも、私には無理です。

 

 

 ちなみに、一応一回はクリアしたんですが、ラスボスは宙に浮いてる剣でした。

 …いや、そこまで私を追い詰めても…


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