アニメ版るろうに剣心雑談 壱


第一話 伝説の美剣士・・・
愛ゆえに闘う男

 そんなワケで、アニメ版るろうに剣心の第一話なのです。

 ジャンプ漫画のアニメ化という事で、ここから数話は微妙に細かい話を省きつつの主要キャラクター登場&説明の回という恒例のパターン。
 勿論第一話、と言う事で今回の登場キャラは主人公『緋村剣心』とヒロイン『神谷薫』です。

 と、一度そういった当然の事は置いておきまして。

 アニメ版『るろうに剣心』は、基本的には全話通して『京都編』以外はアニメ版オリジナルの展開です。
 オリジナルの話が入るというだけでは無く、原作の話も原形が無くならないギリギリのレベルでアレンジがかけられています。
 この所為で後々偉い事になってくるんですが、その時が来たらその事についても書きます。

 で、この第一話も勿論アニメ版オリジナルの展開。
 冒頭、剣心と薫が出逢い、偽抜刀斎と会うところまでは一緒ですが、この後が全くの別物。
 比留間兄弟は弟の比留間伍兵衛だけの登場となり、その設定も『昔、神谷活心流の稽古中に、禁じられていた真剣を用いた事で薫の父親に右手親指を砕かれ、剣が持てなくなった恨みを晴らすべく、神谷道場の破壊を目論んでいる』というモノになってます。
 恐らく、玄斎先生とあやめ&すずめ、というアニメ版オリジナルの神谷道場に縁の強いキャラを出したために、神谷道場に居た設定の兄貴の存在を消し、アニメ版の設定にしたのでしょう。
 そんな設定の変更が有るものの、取り敢えず話は順調に進み、後々のキーワードになる『剣は凶器、剣術は殺人術、どんな綺麗事やお題目を口にしても〜』というセリフもトレースされ、飛天御剣流・龍槌閃で比留間 伍兵衛の左手人差し指〜小指を砕き、KO。
 後は原作と同じやりとりで、剣心が居候決定めでたしめでたし、です。

 まァ、この話については取り立てて書く事も無く、第一話と言う事で高クオリティの動画も観れていい感じでした。
 今回のタイトルにやたらと問題ある事さえ除けば、の話ですが。
 これには大笑いさせられる一方、何だかこっちが恥ずかしい思いをしました。


第二話 ガキ侍 
スッた!モンだ!で門下生

 タイトル通り、今回は士族『明神弥彦』登場の回。
 ―――と、言うよりは『人斬り我介』と『多西組長』の名演技の光る回です。
 アニメでヤーさん関係は結構規制が強いと云う話を聞いた事が有るのですが、関東集英組はどうやらセーフだったみたいです。
 同様に子供向けアニメでは省かれる事の多い血飛沫も、意外と大量に飛び散ったりしてるし、結構るろ剣頑張ってる感じがします。
 それと、何気無く佐藤君と平ちゃん(原作の菱卍愚連隊に喧嘩を売った元神谷道場生)が登場してるのもポイント。

 この話もやはりTVオリジナルの展開なんですが、薫が関東集英組に乗り込んだ事以外は特筆すべき事は有りません(勿論、後で剣心も来ますが、薫は1人でどうにか出来るつもりだったんでしょうか)。
 細かい事ですが、弥彦の『スリの技術が優れている』という描写を2つの小ネタを入れて見せる事で、原作より『弥彦はスリが得意』という事を巧く表現出来ている様に思えます。後程、折角のこのネタを台無しにしてしまうワケなんですが…

 ところでこのセンスを微塵にも感じないタイトルはどうにかならないんでしょうか。


第三話 哀しみの剣士・
過去を斬る男

 ちょっと小エピソード。
 原作にも有りました『山県有朋が剣心を陸軍幹部に誘いに来る』という話です。

 原作では弥彦登場の前にやった話なんですが、敢えてアニメ版では弥彦をこの話に組み込む事で、『人を護る剣』について弥彦が学ぶ回となってます。この辺、原作に有った蜂須賀率いる『菱卍愚連隊』のエピソードが削られてる所為も有るんでしょうけど、これはこれで結構巧いと思います。

 問題は、ヤケに態度の悪い浦村署長。

 『抜刀斎を出さないと国家反逆罪だ!』発言を始め、薫を投げ捨てたり、剣心に『頭が高い!』とぬかしたり、勘違いも甚だしい態度のオンパレード。それだけならまだしも、民衆に指示される剣心を見ての一言『やはり、本物は違いますなあ』発言が無し。本気でただの嫌なヤツになりさがっております、この人。
 後程原作では『人が良い』事で決まってくるのに、こりゃああんまりです。根っからこの性格で無ければ女子供を投げ捨てたりしません
 そして、この回辺りから『削ってはいけないセリフを削る』現象が数多く見受けられる様になって…

 しかし、相変わらずタイトルに問題山積み。
 何かエンディングの絵といい、何やら『耽美系の匂い』を感じるのですよ、何か。
 何か剣心役の涼風サンといい、何やら『耽美系の空気』を感じるのですよ、何か。


第四話 悪の一文字・
ケンカ屋左之助登場!

 タイトル通り、『相楽左之助』登場の回です。

 この話はそこそこ原作通りなんですけど、『喧嘩は相手の情報を調べる事から始まる』のネタはカット、左之助は京都に向かわずに真っ直ぐ剣心のところに行く展開になっています。
 曰く『人斬り抜刀斎の使う剣術は飛天御剣流。そんなの調べなくたって分かるぜ』。
 左之助さん、神谷薫はね、偽抜刀斎が『神谷活心流を名乗り、大暴れしてた』所為で神谷道場の名前が落ちて苦しんだんですよ?
 それが常識なら誰も苦労しねえ、っていうか無知な東京人への嫌がらせか?

 そんなワケで、深夜の神谷道場庭にて剣心と対峙する左之助。
 ちょっとした小競り合いは行うものの、アニメ版オリジナルキャラである『あやめチャンとすずめチャン』が起きてきてしまった所為で、『喧嘩は女子供の前でやるもんじゃねえ』と言い残し帰宅、次回へ続く、です。

 さて、アニメの楽しみというとやはり『声』にあると思うのですが、今回登場の左之助について。
 左之助役の上田祐司氏は、セクシーコマンドーでマサルさん役や、機動戦艦ナデシコでテンカワ・アキト役もやっている有名声優さんなんですが、未だこの頃は『左之助』を掴めていないのか、ヤケにクールというか、テンション低いのが気になります。
 負けん気強く、自己中心的で短気、そして喧嘩っ早く『いつもギラギラしてた(By銀)』の割に、この左之助の物静かである種知的ささえ感じさせてしまう喋りには、凄まじく違和感を感じます。
 これが、後程どんどん左之助っぽく変化していくワケなんですが、前述の『声の楽しみ』の中にある『声の成長』ってのもアニメの楽しみの一つだと思うのですが、如何でしょう?
 最近観たアニメの中では、ハンター×ハンターのクラピカなんかもそうなんですが、『キャラを掴んだ声優さんってのは凄ェ』と初登場の喋りを聞くと思ったりする今日この頃です。


第五話 逆刃刀対斬刃刀・
闘いの果てに!

 薫と弥彦が見守る中、2人の喧嘩第二幕開始。

 左之助サンてば、『喧嘩は女子供の前でやるもんじゃねえ』発言は覚えてらっしゃらない様で。いやー、お茶目サンですね。

 原作との違いは、赤報隊終焉のエピソードが細かくなった事、予想通り相楽総三の生首シーンの削除された事、そして左之助が赤報隊の生き残りである事を何故か知ってる玄斎先生に、それを聞いた薫と弥彦が左之助に『ニセ官軍!』と罵声を浴びせる残酷シーンが追加された事でしょうか。
 って言うか、剣心に赤報隊の事実を聞かされても謝りもせずに『剣心はただの維新志士じゃねえ!』と逆ギレする弥彦はどうなんだ。

 兎に角、薫と弥彦に逆に説教された左之助は、剣心に相楽総三の夢を見出し、仲間となる事に。
 この間、剣心が自分を誉めちぎってる薫と弥彦を止めないところに妙な違和感。ちょっとは謙遜とかしろ。
 後日談の『左之助は強かったから、一日中引き締めてた顔が元に戻らない』っていう小ネタがカットされてたのが気になりつつ、まァ巧くまとめてはいるかな、という印象。

 ただ、剣心と左之助がバトルしてる際の薫の解説『左之助の強さはデコピンで人を倒す馬鹿力でも、斬馬刀を振り回す怪力でも無く、寸鉄を眉間に喰らっても微動だにしない打たれ強さ!』がカットされてたのが結構不思議です。
 左之助の『打たれ強さ』というのは、後程斉藤一にも指摘される様に、左之助のウリなのでセリフとしてソレを出して強調した方が良いと思うのですが。その割に、『俺のウリは打たれ強さだぜ』とか言う左之助はどうなんだろう、って話です。アニメ版しか観てない人は何の事か分かりませんぞ。
 この辺のいい加減さが凄く気になるのです。

 後、ちょっとした事。

 原作付きのアニメの良いところは、予め先の事象・設定が分かっている、と言うところにあります。こういうのを利用して、原作にあった矛盾点を直してみたり、先行的に新キャラのシルエットを見せたり、後付けチックな設定を自然に見せたりする事が出来ます。るろ剣でもオープニングアニメで、志々雄真実まで出していますし。
 さて、この事を踏まえた上で、前回・今回の左之助の赤報隊エピソードに関してなのですが、原作を読んだ方は存知の通り、赤報隊には左之助の他に『月岡 克浩』という左之助と同年代の友人が居て、後程登場する事になります。その際の赤報隊の回想では、克は左之助と一緒に総三にまとわりついていた、という設定になっているんですが………
 さて、言いたい事は伝わったでしょうか?
 漫画版では後付けの設定だったため、左之助の回想に克が居ないのは仕方無いにしても、アニメ版では予めそれが分かっているのですから、ファンサービス、と言うより伏線としてもここで克の姿も見せるべきだったと思うのです。
 終焉の瞬間に居なかった、というのは仕方無いにしても『赤報隊全体の回想シーン』にチョロ、っと出ていてもバチは当たらないでしょ、と思うのですが…何か意図でもあったのでしょうか?


第六話 闇からの訪問者・
黒笠現る!

 剣心の最初の『敵』にして、心に人斬りの業を持つ剣心にとって、重要な役割を持つキャラとなる『鵜堂刃衛』の登場となる回。

 原作通り先ずは刃衛が冒頭一人を惨殺し、翌日神谷道場に浦村署長が尋ねてくるところから話が始まります。
 っていうか、浦村署長ってば早速小者化してるんですが。その変わり身の早さは何なんだ。三話前の狼藉を忘れたとは言わせねえぞこの野郎。

 で、この後はやはりアニメ用にアレンジされ、またまた小ネタや重要なセリフカットの連続。
 谷十三郎と署長、剣心の『何処の馬の骨とも分からんヤツがワシの警護だと?』→『馬の骨ですいません、谷さん』→『ゲェ、緋村じゃん!』っていう谷の卑屈さを見せてくれるシーンのカット(これは小ネタではありますが、元維新志士が権力を得てどの様に腐れたのかを見せる重要なネタであったと思うのです)、二階堂平法の説明のカット、左之助と刃衛のやりとりの簡略化。
 更に、『剣心は川にいる』という左之助のセリフが無いのに、左之助を振りきって剣心を見付け出す薫の謎の行動力、ついでに道場に潜んでた刃衛の『川かわ、うふふ』のヤバさモロ出しシーンのカットと云う、どうも大雑把・大雑把に話を進めている節があります。

 この辺は1ヲタとして結構な不満であります。
 刃衛役にソリッド・スネークでお馴染みの大塚サンを起用し、見事なまでの熱演をして貰っているだけに、この脚本のやる気の無さにはガッカリなのです。もう、ホント!

 そして、この大雑把さが、次回で今後キーワードともなる刃衛の終焉にまで及び、更には御庭番衆編の最悪アレンジへと進化していく事になろうとは、TV放映時には想像も出来なかったのでした…


第七話 月下の死闘・
愛する人を守れ!

 刃衛との決着の回。

 対決については文句ありません。原作から良かったのにアニメーションが付いたのですから、2人の戦いが格好良いのは必然です(不安だったのは確かですが)。
 剣心と刃衛が戦う前の、『お前は魔物よ!』という薫嬢の失笑を誘うセリフも無かった事に出来るくらい、良い斬り合いをしていました。
 ただ、問題は決着後。

 剣の道を絶たれた刃衛は自らを刺し潔く逝くわけなんですが、この際『黒笠』こと鵜堂刃衛の政治家暗殺事件は、『全て政治家に頼まれた事だ』、というネタ晴らしが全部カット
 最後に口にする『お前は人斬りだよ』は言うんですが(まぁ、これをカットしたら刃衛そのものを無かった事にする様なもんですからね)、政治世界の裏の部分に関しては一切口外せず、『刃衛はただのイカレた人斬り』という事で終わってしまっています。
 ビックリしましたよ、『人斬りの業』程で無いにせよ、るろ剣では結構重要な話なのにそれを丸ごとカットなんですから。

 あのセリフは、(この時は謀ってなかったでしょうが)後程出てくる赤松有人を初めとした暗殺集団、そして『政府の裏』の話の伏線へとなるのに、それをカットするって言うのは一体どういうつもりでしょう。
 これで刃衛を『人斬りが趣味の殺人鬼』という『設定に変えた』ならばそれも1024歩くらい譲って有りでしょうが、京都編でキッチリと『刃衛と同じ組織』というセリフが赤松の口から出てきますし。
 刃衛と同じ、と言われてもアニメ版しか観てない人は意味が分からないでしょうに。
 コミックスで和月先生も仰っていましたが、そもそも刃衛の話を2週間にまとめたという事自体が納得出来ないのです。3週にすれば、もっと色々詰め込めたでしょうに。アニメにはアニメの事情が有るのは分かりますが、これでは原作に失礼ってものです。

 こうしてちょっと納得出来ないまま終わってしまった黒笠事件なのですが、この後の御庭番衆編で、更なるアニメ版アレンジの駄目っぷりに、言葉も失うハメになるのでした…。


第八話 新たな戦い!
飛び込んできた謎の美女

 新しい主要キャラ『高荷恵』と、御庭番衆、武田観柳の登場&説明の回。
 この回は、未だ原作通りです。

 冒頭のバクチシーンで、原作では百発百中だった御剣流の読みが、アニメでは『剣とサイコロは違うから』と全部ハズレになってた、というどうでも良い変化があった程度。細かい変更点を上げるなら、べしみが恵に『お前を常に見張ってる』という時の『例え』が無くなっていた事、薫の奪回に失敗した観柳の手下が『観柳邸で』殺されたために、橋での剣心と蒼紫の邂逅シーンが無くなったという事でしょう。

 細かい事ではありますが一番最後のシーンをカットしてしまった事は大きく、これに依り視聴者側の『御庭番』の『四乃森 蒼紫』の印象が薄くなると同時に、剣心が蒼紫を見たときに感じた『何か起こる』という覚悟のシーン、後程2人が会った時の『顔は知ってるが話すのは初めてだな』と云う微妙な会話(何気無いあのやり取り好きでした)等がカットされてしまう訳です。
 まァ、この程度のアレンジなど、この後の話を考えれば未だマシなんですがね。


第九話 最強の忍び軍団・
恐怖の御庭番衆!

 結局『御庭番衆がどれ程強いか』という説明は無く、視聴者側は『御庭番衆は強い』という認識を強要される回です。

 これと言って御庭番衆が強いエピソードが語られるわけでも無く、恵だけがやたらビビッてるだけで、結果的にべしみもひょっとこも一蹴されてるし、『強い』という印象が沸き様が無いのです。
 般若でさえも、剣心と対峙するシーンがカットされるという暴挙が許されてしまったため、剣心の『できる…』というセリフからのみ強さを想像しなければいけない有様です。どうなの?それ。

 で、御庭番衆の強さが薄くなってるの同様、話の展開そのものも、とても薄っぺらくなってます。
 恵を『高荷一族!?』と玄斎先生が説明するシーンが省かれてた時点で厭な予感はしてたんですが、それに合わせる様に神谷道場を去ろうとした恵と剣心のやり取り(涙を流す恵と、事実を知ってやりきれない怒りを見せる左之助のシーン)がカット。勿論『阿片女』のセリフは無く、左之助と恵との間に無ければいけないハズの心情描写が薄い薄い。

 それにアニメ版オリジナルの展開で、般若に呼び出された恵が観柳に脅される現場を左之助が目撃して、恵への複雑な感情に決着を付けてしまうため、剣心に『動く理由<ワケ>』について説教される事無く、恵救出を決行するのもどうかと。しかも1人で
 挙げ句の果てには、御庭番衆『本丸』警護方の式尉が正門前で登場、左之助との戦闘開始。
 この辺、突っ込みどころ満載過ぎて何から言って良いのか分かりません。

 取り敢えず落ち着いて、先ずは左之助の行動。

 別に左之助が脅迫を目撃する事も、恵を止める事も構わないんですけど、その場合前回と今回前半をかけてやってきた、『家族の温かみを哀しそうな目をして見つめる恵のシーン』に意味が無くなります
 アレは、剣心の『捨てられた犬の様な目だった。人が動くのに理由が要るなら、それで十分!』と言う熱いセリフのタメにあるのに、それが台無し(=カット)。観柳が『抜刀斎が動く理由が無い』というセリフも薄っぺらくなります。
 加えてこの展開の場合、左之助も恵を止めるなら止めるで『観柳邸前じゃなくて道場で引き止めれば良いじゃない』という単純な疑問が浮上します。

 次に式尉との戦い。
 原作の『力比べと言いつつ頭突きをする』シーンをカットして『ただの頭突き』をしたりするのはまだ良いとして、『力のあるモノは御庭番衆に入れる』という左之助を誘うシーンや、『かつて式尉は蒼紫に敗れた』という回想のカット、挙げ句に左之助の『剣心はお前等と違う!』セリフもカット。もう、ホントに…もうホントに何してるんですか?
 そのカットしたシーンが有るからこそ、後の左之助と式尉に妙な友情が生まれ、ガトリングガンに向かう式尉が剣心に『アイツは好かねぇが見所のあるヤツだ』という熱いセリフが生まれるのに。御庭番衆の『負けは負け』という潔さが出てるのに。浦村署長もそうなんですけど、式尉は『タダの嫌なヤツ』に成り下がってますよ、これじゃあ。

 確かに和月先生は『敵<かたき>役は得意だけど、敵<てき>役が苦手』という節が有りますが、何もわざわざこういうキャラを嫌なヤツにする必要は無いでしょうに。

 最後に、式尉を倒して観柳邸に突入する訳なんですが、メンバーが剣心、左之助、弥彦、お前何しに来てん


第十話 蒼紫・
美しすぎるほど怖い奴

 タイトル発案したヤツ一歩前に出ろ。

 vs般若、vs蒼紫というのが大筋の回。

 先ず細かい事で気になる点は、『お前の幸薄い人生には同情する。だが、それもどうでもいい事だ』という蒼紫のセリフのカット。う〜ん、何でカットしたの?蒼紫は既に修羅ですか?
 それと、般若戦では大方の予想通り『口減らし』のエピソードが省かれ、『自ら鼻を削ぎ、唇を焼いた』のシーンもカット、変装が得意であるというネタや『覚悟』はどうでも良いモノとされました。

 そのクセして左之助は『般若といい式尉といい、これ程の男達お束ねる御頭ってなどんなヤツだ?』なんてセリフ。お前、式尉瞬殺してんじゃん。原作みたく式尉を認めるセリフ一回もしてないじゃん。
 これでは左之助は『強さ=男気』と考えているも同じで、アニメしか観てないとただの格闘マニアにしか見えません。

 と、左之助に話が逸れましたが、般若。
 剣心の『恵殿の生い立ちは知っているか!?』→『ならば何故、孤独を分かってやれなかった』というやり取りもカットされていました。『口減らし』ネタが無い時点で、『般若なら孤独が分かる』という認識が『成り立たない』所為なんですが、これでは何のために般若が居るのか分からないんですけど。もう、ホントに。

 そんな訳で軽く般若を倒し、ワラワラ集まってきた雑兵を弥彦と薫に任せて、剣心と左之助は蒼紫の元へ。
 そして左之助の一言。『お前もすぐ倒してやるぜ、式尉のヤツみたいになァッ!』。
 お前『あれ程の男達』発言どこにいったのさ。もう…ほんと、どうなの、お前?
 結局そのセリフが蒼紫のカンに障ったらしく、一発でKOされてフレームアウト、剣心と蒼紫の戦いの開始。雑兵を倒してきた薫と弥彦が居る事以外は、原作の様に進み、次回へと。

 ところで、前回に続き突っ込みどころが多くて書き忘れてたんですが、原作から省かれてるシーンで『弥彦の銃を盗んだ』次のセリフ、『スリの技術が役に立つなんて』というのと『剣士は銃は要らない』なんてのも有りました。
 これは結構弥彦のキャラを立たすのに必要なセリフだったと思うんですが、どうでしょう?
 漫画がアニメ化すると中身が薄くなる事は多々ありますが、今回は酷過ぎます。


第十一話 さらば最強の男たち!
光と闇の激突

 ひかりとやみのげきとつ。
 参ったな、どう突っ込もう。何かもう、そう言う次元じゃ無い気がしてきた。

 激闘の後、剣心に敗れる蒼紫。
 何故観柳の元に与していたか、と言う話になるのですが、これがまた薄い薄い。

 倒したはずのべしみ、ひょっとこ、般若、式尉が現れ、『私達のためだ』『戦うしかない私たちを御頭が〜』という説明、蒼紫もそれに合わせて『お前達に最強という艶やかな華を〜』と言うワケなんですが、鳥羽・伏見での徳川の話はカットされ、挙げ句に御庭番衆が勢揃いで順に話してる所為で、なんかヤケに滑稽というか、蒼紫の『血みどろの闘争心』の説得力がまるで無いです。
 なんか『部下のために戦ういい人』キャラという、よく分からない立場になってます。

 その後、観柳が乱入してくるのは一緒なんですが、剣心達も御庭番衆もその場に揃っちゃってるので、原作の怪我を癒していたべしみ&ひょっとこの参戦シーン、般若が式尉と左之助を起こし『戦った後の友情』を見せるシーンの2つがカットとなり、スッキリした、というか淡々とした感じで死んでいく御庭番衆の面々。
 前述の式尉の左之助を褒めるシーンも無く、般若の見せ場『あの娘の事を考えなかったワケじゃないさ。私にとっては蒼紫様の方が大切だっただけ』という熱いセリフもカット(代わりに『飛天御剣流を頂く』という格好良い台詞を言うんですが、これまでのキャラ作りの薄さが災いして…)、べしみの涙も省かれちゃってました。

 ただ、アニメ版ではべしみの螺旋鋲がガトリングガンの薬莢に当たり、それが詰まってガトリングガンが撃てなくなるという『御庭番衆がガトリングに勝った』と言うのを原作よりよく見せる展開を見せています。それは良いんです
 問題はその螺旋鋲が詰まるまでの間、剣心が『乱射してるガトリングに向かっていってた』事。弾切れ無くてもお前なんか殴れるぞ、と言わんばかりに銃弾飛び交う中突進。最初からそれしろよ

 そんなワケで観柳をKO、恵も救出するんですが、ここで又シーンの大幅カット。
 先ず警察の介入シーンが省かれ、観柳の『恵も仲間だ!』というセリフは後日談で薫・弥彦が語る程度に収まり、当然とでも言わんばかりに、蒼紫が御庭番衆の生首を持っての『俺がお前を殺すまで、誰にも殺されるな』のシーン・セリフ共にカットという神(和月先生)をも恐れぬ大暴挙。もはや何でもありです。

 それと、警察介入シーンが無いので、観柳が『抜刀斎フカシこくんじゃねえ!』のセリフで恵が『剣心=抜刀斎』と気付くシーンが無く、恵の説得時に『剣で人を守る。そうして抜刀斎は今の世を生きてるのでゴザル』とかいきなり言われても、恵的に『抜刀斎って何の話?』って思うしかないでしょう。
 更に細かい事を言えば、この時高荷家に伝わる塗り薬を出してないので、アニメしか観てない人は京都編の最初の『薬を届けるネタ』の意味が分からなくなります。あ〜あ。

 兎に角、そんなこんなで終わった御庭番衆編。
 どう考えても『アニメ版しか観ない人』には不親切極まる、そして原作を馬鹿にしてるとしか思えない駄目アレンジを見せつけてくれたワケなのですが、これは一体どうしたんでしょうね。
 この辺の脚本を書いた人は、余程るろ剣のるろ剣らしさを理解してない人か、漫画を読まずに設定だけを聞いて書き殴ったんじゃないか、と思うのですが。
 結局テーマも分からぬまま終わり、不満以外に残るものの無い話でした。


第十二話 少年剣士誕生!
一番弟子 弥彦の戦い

 原作では小休止の『番外編』として書かれた、弥彦が主人公の小エピソード。

 アニメでは、河原で剣の稽古をしている弥彦に燕が出逢い、切れた鼻緒を直して上げるという小ネタから入り、赤べこで再会、そして長岡幹雄の赤べこ襲撃の話を聞き、という展開になっていくワケなんですが、つまり弥彦は赤べこでバイトしてません
 原作の赤べこでのバイトは、『燕に合うため』『体を鍛えるため』そして『逆刃刀を買うため』という、弥彦なりの隠れた進歩を見せる回だったんですけど、何でわざわざそれを省いたのか皆目見当が付かないんですが。

 まァ、そういった細かい違いはありますが、後は原作通りです。
 『獅子は子を〜』ネタや、『一晩で強くなる』ネタ、甲元一刀流『浮足落とし』シーンのカットなど、原作マニアなら無い事に気付くかな、という細かいシーンのカットがあった程度で、巧くまとまって終わり。

 前述の通り、何故わざわざ弥彦の成長の一環を消したのか理解不能なんですが、取り敢えずは特に問題無く普通にまとまった話だと言えます。
 詰まる話、『有っても無くても別に』といった。


戻る