バイオハザード CODE:Veronica
発売元 カプコン
発売日 2000年2月3日
ジャンル サバイバルホラー


感想とか

 

 DCで登場した、バイオハザードのサイドストーリー的作品。

 ハードが128BIT機になった事で、よりポリゴンキャラクターがリアルになり、ステージも今までのレンダリングされた1枚絵背景からリアルタイムレンダリングの3D空間へと移行、より3Dゲームへと進化を遂げたわけです。

 更に、バイオハザード2の主人公クレア、初代の主人公クリスのレッドフィールド兄妹の共演、そして初代で主人公達を陥れた元・S.T.A.R.S.隊長ウェスカーの再登場と言う事で、ファンには待望の一本でした。

 

 まァ、そんな紹介はもっと良いサイトが在るでしょうから、自分の感想を。

 

 私がバイオを語る時は、ホラーの1、シナリオの2、アクションの3と言うのがお約束なんですが、ではCODE:Veronicaはどうなのか、っていうと、軽く一言『駄作のベロニカ』であります。ええ、ホラーの1、シナリオの2、アクションの3、駄作のベロニカ。

 まァ、反対意見も在るでしょうけど、飽くまで『私の感想』だ、って事で一つ。

 

 先ず、ベロニカをプレイして最初に思った事は、『リアリティの欠如』。

 キャラやクリーチャー等は、明らかにクオリティが上がっているのですが、問題は背景です。

 背景がリアルタイムレンダリングのポリゴン背景となった事で、今までに無い画面のスクロールのあるステージ構成が可能になり、前述の通り『より3Dゲームとして進化』したんですが、これが(少なくてもこの時点の技術力では)BIOHAZARDには余計な事でした。

 確かに3D空間っぽさが出て良かったとは思うんですけど、テクスチャーやそのレンダリングのクオリティが明らかに低下してるんです。

 アニメのパッケージ等の止め絵のクオリティと、アクションシーンの動画のクオリティの違いと言えば通じるでしょうか。

 動画として何枚も絵が必要になるアニメは、どうしても一枚一枚のクオリティが下がってしまいます。

 ポリゴンも、その理由に違いはあれど一緒なんです。

 1枚絵として出力する時は、幾らオブジェクトを置いても、テクスチャに拘っても一度レンダリングしてしまえばそれで終わりなのですが、リアルタイムレンダリングする時は、カメラ位置、光源、状況次第に合わせてずっとレンダリングし続けねばならないため、どうしてもマシンスペックが必要になり、快適に表示するためには1枚絵の時と同じクオリティでは辛い場合が多いのです。

 これはリアルな怖さを出すバイオにとってはとても痛手だと思うんです。

 『3Dゲームとして進化』した副作用、一枚一枚のクオリティの低下がリアルさの低下を招き『ゲームをやっている感』が強くなり過ぎました。『洋館を』『警察署を』『研究室を』『走り回る』のでは無く、『ポリゴン空間を』『操作する』感じ。

 兎に角、背景のディテールの甘さが気になるし、バイオらしさを感じない代物になっちゃってます。現に、後程出されたGCのbiohazardは背景の木々や灯を動かすのにムービーは利用したけど、画面は固定絵する事でクオリティを維持し、画面一つ一つの存在感を押し出す方式を取っています。ベロニカと同じくリアルタイムレンダリングしたDevil May Cryの場合は、ディレクターの神谷氏が、兎に角テクスチャに拘りを見せて『一枚絵の頃と遜色無い質感』を目指し続けたらしいですが、それ位しなければいけないと思うのです。

 これがバイオとしての減点ポイントの一つです。

 

 次、完全に捨て去ったホラー性。

 今回はもう、サバイバルホラーを『捨てた』と言いきっていい感じです。

 完全な『vsクリーチャー』。

 未知の恐怖と戦うサバイバルホラーでは無く、化け物と戦うアクション・アドベンチャーという形です。

 怖いのは、背景の生理的に気持ち悪いオブジェクト、音楽、限られた残弾数に、強い敵。

 これはこれで、3Dゲームとしては構わない事なんですが、これは初代BIO HAZARDが売れてから、柳の下の泥鰌で幾つも出てきた紛い物ゲームと全く一緒の道、本家がやってどうするか、って言いたいんですよ。

 それを目指したんだ、と言われればそれまでですが…

 

 そして、そのゲーム性自体にも難が多く感じました。

 バイオ3では、緊急回避というシステムがあったから、あの数のモンスター相手に面白く戦えたのに、今回は1、2と変わらないアクション性のままで、バイオ3並に多くの敵を相手にしなければならない面倒さ。この面倒さは苛立ちや詰まらなさと限りなくイコールの関係で結びついてます。

 明らかにシリーズで遊んでいるユーザーをターゲットにしておきながら、今までと何の変更も無いアクションでは、シナリオとゲームだけで無く、加えてアクション部にまでマンネリを感じてしまう事になります。

 それを緩和するためか、ボス戦は色々工夫が見受けられるのですが、如何せん『普段』こちらに出来る行動がお粗末、ってのがゲーム全体としてマイナスポイントです。

 それならばそれで、ボス戦を主軸にするならば良いのですが、そこに至るまで相変わらず長いですし。

 普段出来る事に選択の幅を持たせてこそ、ゲームとは楽しめるモノだと思うのです。

 

 と、ゲーム性の問題は、アクション面にのみ止まらず、いつも通りの謎解きにもあります。

 兎角、アクション同様今までと何も変わらない、行けるところの検索→アイテムを見付ける→新しいエリアに行く→アイテムを見付ける→行けなかったところに行く、の繰り返し。

 うろうろマップを行ったり来たり、作業的に謎解きをさせられて、いい加減『何でいつもこんな建物しかないのか』と突っ込みたくなってきます。

 そして弾数制限や、無駄に多い敵の数、ストレスは溜まる一方で、それを一気に解放出来る瞬間も無い。淡々と続く展開に、時間さえあれば解ける謎解きをやらされて、だらけていく一方。

 難しいのと面倒なのとは違いますし、恐怖とストレスは違います。勿論、王道とマンネリも違うのです。

 バイオハザードの根底に流れるシナリオ(後付けは多いですけど)を知る事の出来る楽しみこそ在りますが、それに至るまでの道でだらけちゃうんですねえ。それが、『やたらと制限の多い』『ただの化け物退治』ゲーとなってるから尚更です。

 

 くどい様ですが、恐怖を相手にするのでは無く、単純に化け物を倒すだけならば、ミニゲームの様に最初から強力火器を持って、爽快に戦わせる方がゲームとしては面白いんです。

 実際、私は本編よりもあのミニゲームにはまりましたし。

 それはバイオハザードでは無い、それも分かります。

 しかし、単純に作業的に化け物を相手にするだけのゲームもバイオでは無いハズなのです。

 

 

 ―――と、最後に問題提起。

 そろそろ、幾ら趣向を凝らしても『脱出する事が目的』のシナリオ、ゲームには無理が来ているのではないでしょうか。

 バイオ2で既に感じられたマンネリ感は、ここに来てゲームの楽しさの要素を邪魔するに至っています。

 いい加減、『矛盾の多い建物の謎を解きつつ脱出、ラスボスを一撃必殺の武器で撃破、現場は爆発で締め』の展開には限界が来ているのではないでしょうか?

 バイオ3で『ラストエスケープ』を唱っていますし、そろそろ『脱出』以外の要素でバイオらしさを見付ける『何か』が必要なのでは、そんな課題が今後のバイオに欲しいと思うのです。

 まァ、バイオファン、って言うか腐れオタクの言う事なんですけどね。


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