ゼルダの伝説 夢を見る島
発売元 任天堂
発売日 1993年6月6日
ジャンル アクションRPG


感想

 

 ♪また出たゼルダの伝説 ゲ〜ムボ〜イで何処でもゼルダァ

 この度リンクが付いたのは、何処かの国ィの変な島!こいつは夢か幻か、全然島から出られなーい!(早口)

 どうしよう(合いの手)

 ♪ゲームボ〜イで何処でもゼルダ ゼルダの伝説 夢を見・る・島!ちゃらら〜

 

 って当時のCMソングを(大体)覚えてる有様です。

 

 さて、本作『ゼルダの伝説 夢を見る島』は、有名なゼルダシリーズの初のGB品であり、私が初めて徹夜で遊んだ、思い入れの深いゲームでもあります。

 今でも思い出せます。布団に入り、スタンドの明かりを付けて、夜の12時から朝7時までやり続けたあの日の事を。

 懐かしいッス。

 

 と、感慨に浸るのは此処までにして、ゼルダです。

 

 物語は、トライフォースとは関係が無い(つまり、ゼルダ姫もガノンもいない)、所謂『外伝』って奴でして、主人公リンクが船旅中、嵐に見舞われて、気が付いたら謎の島に漂流していた、と言うのが始まり。

 浜辺に打ち上げられたリンクは、たまたま通りかかったマリンに助けて貰い、島を脱出するために駆け巡る―――ってワケなんですが、実に良く『ゼルダ』してます。

 基本的にはSFCのゼルダの操作性を意識しているし(AボタンBボタンにアイテムを割り振ってのアクション)、わらしべイベント(今後のゼルダのわらしべの大本ですね)、多数のミニゲーム等や、段々難易度が上がる謎解き・パズル性の強いダンジョン等、ゼルダのゼルダたる所以、任天堂らしい楽しめるゲーム造りがちゃんと詰め込まれていますし。

 それでいて、個性溢れる島民や、センスのいいネーミング、クリボーやフグゾー、カービィ(らしき敵)と云う任天堂らしいユーザーサービスも溢れてますし、BGMもいつものメインテーマ他、かぜのさかなの曲など、名曲と呼べる曲が多いです。

 全体的にも、飽きさせずにテンポよく最後まで遊ばせるあの作りは正にゼルダ、正に任天堂です。

 

 ただ、本作は今までのゼルダとはちょっと違う部分が在ると思います。

 

 私の勝手な主観も入りますが、夢を見る島以前の他ゼルダはストーリーは在るが、それは後付け的なモノに感じるのに対し、夢を見る島はストーリーそのものに主体を感じるんです(勿論、他部分も他ゼルダに劣らないと思います)。

 押し出し方の違いと言うんでしょうか。何を主体にするのか。

 どう云う事か、ってと、他ゼルダでの世界やダンジョンは、それが在る上で、そこに行く意味というのをリンクが後付けで受けて行くのに対し、夢を見る島では、最初から理由が在ってその世界やダンジョンが在り、そして理由が在ってリンクはそこに行く様に思わせるんですね。

 もっと言えば、一番最初のゼルダ、少ない文字情報をヒントにただ自由に駆け回ってたアレに対し、夢を見る島は確かに自由な行動も在りながら、一本道のストーリーを進まねばならないし、各キャラ(ボスまで含めて)の存在感や、意思、想いを受け止めながら進んで行くという演出は、ストーリーの重要性を見せているのではないかなと。

 今までも名NPCは居ましたが、夢を見る島のNPC程、いい意味で自己主張してきたキャラは居ませんから。

 

 そして、この島に住む人々の存在感が、今回のストーリーにとってもの凄く重要な事になってるんです。

 更に意味のあるダンジョン―――進むにつれて明かされる謎、否、突き付けられる真実。

 敢えて、全力で脇役のキャラ達に生きている意思を与えていた事の意味を知った時、ストーリーの重要性を知る事になります。

 その時の切なさと言ったら………

 

 兎に角、このストーリーのお陰で、先程『ちょっと違う』と表現した、『ダンジョンの難しさや謎解きで語られてきた』ゼルダの中で、夢を見る島は『ストーリーで語られる』事が多いのでは無いかと思います(くどい様ですが、勿論謎解きやパズル性もゼルダしています)。

 以降、時のオカリナやムジュラの仮面も、ゲーム性とストーリーを共に押し出す様にしてきたのも、これの効果かな、とか愚考。

 

 

 と、そんなワケで、まだやった事の無い人は、是非やってみる事をお勧めする逸品デス。

 

 少々淡泊な表現が見受けられる部分も在り、感情移入せずにゲームやる人は、あまりあのストーリーに思うところ無いかも知れないので、出来ればストーリーの意味を考えながら遊ぶ様な方にこそやって欲しいとは思いますが。


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